脳の働きについて色々と考える その1

今回、発達障害に関する本を読みながら、記憶、理解、認識などについて頭に浮かぶことが色々とありましたので、発達障害とは直接関係ありませんが、ついでに書いておこうと思います。 

以前、記憶術の世界大会に関する番組で紹介されていたのですが、チャンピオンは、ばらばらになったトランプひと組の順番を数十秒で全て記憶してしまいます。 

彼は、トランプのカード1枚1枚にキャラクターを与え、物語を作って記憶するそうです。 数字やマークという意味を持たない記号的なものを、自分がよく知っている、別の意味や個性のあるものに置き換えて覚えるわけですね。 

置き換えや関連づけて覚える手法は、私たちも日常で無意識に使っていることが多いのではないでしょうか。 

覚え難い横文字を覚えるときなどは、関連づけをしないとなかなか覚えられません。 

ex.私は鍼灸の学生時代、消化酵素エレプシンを、名前がエレファントに似てる→像は動物性タンパク質→エレプシンはタンパク質分解酵素。トリプシンも鳥だからタンパク質分解酵素などと覚えていました。 

記憶の達人達は、このような関連づけを、かなり意識的に展開しているようですが、発達障害では、この関連づけが苦手な場合が多いようです。 

学習障害児の中には、似たような名称は区別が付かず、混乱の原因になることもあります。 これは、彼らの記憶力の弱さの一因ではないでしょうか。 

一方、特定の分野にのみ特別な能力を有するサヴァン症候群の人達も、発達障害や知的障害を有していますが、彼らは時に驚異的な記憶力を発揮します。 

サヴァン症候群の人達が、このような関連づけを行っているとは思えません。彼らはただそのままを記憶しているのです。 

彼らには、どうしてそんなことが可能なのでしょうか? 

その理由を私はこんな風に考えています。 まず大前提は、脳はもの凄く忙しいと言うことです。 

私達の脳のうち、一部しか有効に使われていないというのは間違いです。実際は、常にフル回転していると考えて良いでしょう。 

なぜなら、脳の主な働きは、「考えること」ではなく、「生きること」だからです。 

感じることで言えば、大切なのは「感情」ではなく、自分の生体内及び周囲の環境の変化や危険を察知し適応することです。 

例えば、気温や体温の変化に合わせて汗腺や血管の開き具合を調節し、必要であれば熱を作り、気圧の変化で白血球の割合を変化させ、血液中のホルモンや血糖値や電解質濃度を調節し、内臓の働きを管理し、適度に筋肉の緊張を調節して動き、視覚や聴覚、皮膚の受容器などから入る情報を処理して危険を回避し、人間らしく生きることをしなければなりません。 

これについては、24時間、365日休みがありません。 

そう考えると、この小さな脳の大部分は「生きること、生活すること、覚えてそれを取り出すこと」のために使われ、私達が「頭を使っている」と考えているようなことは、脳のごく一部の働きでしかなく、脳の表面の限られた範囲での活動です。 

ですから、いろいろな情報をあらゆる角度から分析、判断してしまうと、脳は一つのことに集中するのが難しくなります。要するに、目移りしてしまうわけです。 

美しい景色を見たとしても、「この景色はどこかで見たことがあるけどどこだったかな?」「あの人にもこの景色を見せてあげたいな」「せっかくだから写真に納めよう」「雲が出てきたけど、雨が降ったら嫌だな」などといろいろ考えてしまうのが凡人ですが、多分サヴァン症候群で、一度見ただけの景色を正確に絵に描いてしまうような人は、何も考えずに、その景色をそのものとして記憶にとどめるのだと思われます。 

脳の機能をその一点に集中させ、美しい景色を、一つの光景として覚えてしまうのです。 外から入ってくる刺激を遮断すると、内部のイマジネーションが豊かになり、潜在能力が惹起されるという側面もあります。 

瞑想がインスピレーションを引き出したり、アーティストが新たな作品を生み出すために麻薬を使うのは、外界からの入力情報を遮断して、自分の中にあるものにより明確に焦点を合わせることが可能になるためだと私は考えています。  

私のお気に入りの本「マリス博士の奇想天外な人生」(ノーベル化学賞を受賞したおもしろいおじさんの自伝)の中に、自分で合成した麻薬を使って、(良い子は真似しちゃいけません)他の科学者と言葉当てゲーム?をした話が載っています。 

片方が思いついた言葉をカードに書き、もう一人がその言葉を感じ取ってカードに書き、お互いのカードを見せ合うという、超能力者がテレビなどで見せるあれです。 

その結果、何度やっても二人のカードに書かれた言葉は一致したそうです。 

二人は普通に会話をしているので、判断力や理解力が全く働かないわけではなさそうですが、多分、薬によって、外部からの刺激や特定の感覚は麻痺しているはずです。 

だからこそ、普通はそこまで集中して使うことの出来ない能力を発揮できたのではないかと思うのです。 

人によって、その能力の種類や強さに違いはありますが、多分私たちは誰でも、ちょっとした超能力を持っているのではないでしょうか。 

その能力が発揮されるきっかけは、追い詰められたときか、他の情報が遮断されたときです。 

臨死体験などは、その両方が同時に起こっている瞬間かも知れませんね。 

治療院アジアート

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