骨とその周囲について勉強する。その1.頭の骨 後編(顎関節症)

 一方、顔面頭蓋部分で知っておくと役に立ちそうな知識は、やはり頭蓋骨の中でほとんど唯一の動く関節、顎関節と咀嚼筋についてだろう。  咀嚼筋とは、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つ。 頬骨、側頭骨、蝶形骨から始まり、全てが下顎骨に終わっている。要するに下顎を動かすための筋肉だ。 これらの筋肉は、体幹や四肢の筋肉程の長さはないが、そこそこ厚みのある筋肉で、鍛えればムキッとなるし、顔の輪郭や表情にも影響を与えるだけのインパクトを有している。 なので、普段食べている物の固さが、顎の大きさや輪郭に影響を与えることも事実だ。(要するに小顔というか細面にしたければ、子供の頃から柔らかいものばかりを食べて咀嚼筋を発達させなければいいわけだ。但し、顎が小さすぎて全ての歯が入りきらず歯並びがガタガタになるリスクがあるし、良く噛んだ方が頭の働きが良くなることは動物実験でも証明されているので、そこを知った上で実践して欲しい) 世間では顎関節症で悩んでいる人が沢山いる。 通常、関節炎(関節症)を起こしやすい関節の条件は、肩関節や股関節のように動きが大きく多方向に渡り頻繁に動かされるか、膝関節のように体重の負荷を受けるかである。 それらの関節の動きには、大きくて力の強いものから、小さくて補助的な働きをするものまで非常に多くの筋肉が関わっているし、潤滑油の入っている関節包、滑液包、関節軟骨、関節を固定する靱帯などの付属機関も複雑で、どこか1つでも故障すれば動きが悪くなり、痛みを生じる。 例えば肘関節は体重の負荷がかからない上に動きが曲がるか伸びるかだけの一方向(橈骨は回旋するが、これは肘関節の動きではなく、橈尺関節の動き)のため、過度の負担がかかるスポーツ選手などを除き炎症を起こすことは稀だし、脊椎(背骨)でも同様で、問題が起きるのは、動きが大きく多方向にわたる頸椎や腰椎で、動きの小さな胸椎が問題を起こすことは比較的稀だ。 瞬発的に強い力が働けば、筋肉や骨にかかる衝撃も大きく怪我をしやすいが、普段あまり使わない(鍛えられていない)筋肉に急激な負担がかかっても炎症が起きやすいことは、誰もが実感としてわかるだろう。 話を戻して、顎関節症だが、咀嚼筋は瞬発力も持久力もある上に、下顎は案外色んな方向に動き、はたまた精神的なストレスや癖などで過緊張を起こしやすい。 そして、筋力の左右差が関節の動きに大きな影響を与えることも関節炎の一因になると思われる。  過緊張とは、睡眠時も含め、普段から無意識に奥歯をかみしめているような人を指すが、本来の働きである、ものを噛むとき以外にも筋肉が常時収縮していれば、筋肉にも関節にも大きな負担になり、条件が悪ければ炎症を起こすわけだ。 精神的に緊張している人は、本来リラックスするときに働く副交感神経の働きが落ちて、四六時中闘うときに働く神経である交感神経が活躍しているため、寝ているときにも色んな筋肉に力が入っている。ついでに首の筋肉が緊張していると、咀嚼筋も緊張しやすい。 そこに気付けば、顎関節症は硬い物を噛んだときになるより、ストレスが強い時期に発症することが多い理由もわかるだろう。(そう考えると、ぽかんと口を開けて寝ているような人は、顎関節症にはなりにくいはずだがどうだろうか?) ここでもう一つの原因になる左右差、あるいは片側の筋力不足による顎関節症について考えよう。 腰痛などでもよく左右差の問題が取り上げられるが、なぜ左右差があるといけないのだろうか? 殆ど全ての人は右利きか左利きで、筋力にはまずな違いなく左右差があり、それに伴って身体も多少は傾いているのが普通だ。 一部の整体などでは、身体の左右差が諸悪の根源のように糾弾され、足は組むな、カバンはリュックにするか左右均等に持てなどの指示をする医者や治療家もいるようだ。 左右均等に身体を使うような生活が、そもそも可能なのだろうか? 私は学生時代剣道をしていたが、剣道などは左右の体の使い方が全く違う。足も手も、右が前、左が後ろだ。(殆ど全てのスポーツに左右差が存在する) カバンを左右均等に持とうと意識していたはずでも、気付くといつの間にか持ちやすい方の手で持っていたとなるのが普通だ。 だから左右差を減らしたければ、左右均等に使おうと考えるのではなく、弱い方を鍛えることを意識したトレーニングをするほうが効果的だろうと思う。 話を戻すと、人間の身体というのは、多少偏っていても大丈夫なように作られていると私は思う。 そりゃあ、偏っていないに越したことはないが、多少偏っていても大丈夫。それだけなら、滅多に問題は起こらない。(はずだ) 問題は、偏っていることで関節の一部が強く擦られて炎症を起こしたり、変な角度で引っ張られることで関節が正しい動きが出来なくなった場合のみだ。 関節は、本来の素直な動きで一番スムーズな運動が出来るよう設計されている。少しぐらいのずれなら、それをカバーしてちゃんと動く。 しかし、加齢や過度の負担による関節軟骨の摩耗や筋肉の疲労、筋力不足による関節の安定性の低下などがあると、関節や筋肉は炎症を起こしやすくなる。  関節の動きから顎関節を考えてみよう。 四肢の場合は、利き腕利き足のように左右差が比較的大きくても、左右個々の関節に対する力なので、反対側への直接的な影響は小さい。 しかし、顎関節の場合、下顎骨という1つの骨を左右の咀嚼筋が引っ張ることになるため、左右の咀嚼筋に大きな筋力差があると、下顎骨自体が力の強い方に引っ張られてしまい、双方の関節にずれが生じる。この状態で恒常的な筋肉の緊張緊張などの負荷がかかると、炎症が起きやすくなるわけだ。 それだけじゃあない。咀嚼筋群は口角を挙げるなどの表情筋でもあるので、左右差が大きいと顔が歪む。特に笑ったときなど、片方の口角が上がっていると意地悪に見えるし、表情が美しくない。 私自身も、咀嚼筋は圧倒的に右が強いので、食事の時はいつも右側ばかりで噛んでしまう。子供の頃からそうだったらしく、意識して左で噛むと味が良く解らなくて美味しくないし、肉などを食べようとすると顎が疲れてしょうがなくなる。 なのでもし仮に、私が意地悪そうに見えたとしても、それは性格が悪い故ではなく、咀嚼筋の左右の筋力差によるものと理解してもらえるとありがたい。 そこで上の方でも書いたように、食事はあまり気にせず右でして、左でガムを噛むようにしている。これを続けていると、左で噛む習慣も身に付き、食事の時左で噛むのも苦痛じゃなくなり、笑顔も歪まなくなってきた。(ような気がする)(小顔矯正が流行しているようだが、矯正で治せるような種類のものは、むくみがあるか筋肉のバランスによりその位置に骨格を保っていると考えるべきなので、他力本願で矯正しても、自分では何もせず通常の生活に戻れば、骨格も戻ってしまうのが普通だ。 それに長年続けるにはお金もかかる。むくみについては、自分でマッサージやタッピングをし、左右のバランスをとれるようにトレーニングや練習をして、元々の顔の作りだけではなく、豊かで魅力的な表情を作ることに時間をかけるのが私のお勧めだ) 顎関節症に戻ると、どんな炎症でも同じなのだが、炎症が起きているときは安静にして、とにかく早く炎症を納めることが肝心。 痛いのに使い続けると、炎症がいつまでも治まらずに二次的な問題を起こすことが多いので、それを回避することが一番重要だ。 例えば関節に水が溜まると、関節の動きが不安定になり、次の損傷を誘発し易くなるし、痛みが長引けば、それを庇って全身の筋肉が緊張し、他の部分にも痛みを生み、血流が悪くなって治りが遅れる。 だから治りかけに無理をするのは、傷口のかさぶたを剥がすような行為だと知って欲しい。 私たちの身体は、健康な状態だと実はとても丈夫に出来ている。 皮膚が健全であれば、不潔な物に触れても滅多に感染を起こすことはないが、皮膚に傷があれば、弱い菌にも簡単に感染してしまう。 傷口が身体の内部であっても同じで、一度しっかり完治すれば多少のことではびくともしなくなるが、治りきらないときは、小さな刺激でも痛みを起こすし、炎症を繰り返すとそこがガサガサして引っかかりやすい状態になるので、新たな炎症が起こりやすくなる。 具体的な対応としては、関節であれ筋肉であれ、腫れや熱感がある、動かさなくても痛むのは炎症を起こしている証拠なので、この時期は安静が第一。 腫れや熱感が収まり、強い刺激を与えたときだけ痛むようになったら、なるべく負荷をかけないように動かし始め、痛みがなくなったら、再発予防のための筋力強化に努めることが大事だ。 筋肉に柔軟性があり、筋力に余裕があれば炎症は起きにくくなるし、関節の負担も軽減される。 今回は脱線が多くて、頭部の骨と筋肉の学習とは言えないないようになってしまいました。 すいませんでした。      

治療院アジアート

麻布十番商店街の、女性による女性のためのマッサージ鍼灸治療院です。 全身のマッサージを基本に、必要に応じて鍼灸を追加します。 どこか懐かしい古民家風の空間で、ゆったりとした時間をお過ごしください。 女性専用、個室、完全予約制、お着替えもご用意してあります。 2019年4月より、ご要望の多かった施術抜きの「カウンセリングのみ」のコース始めました。 ご予約時にご指定ください

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