原発について〜廃炉のための技術を輸出産業に
前回の続きです。 現在の人類にはまだ、原子力、放射能を制御することが出来ないという明白な事実が、今回の震災で証明されました。 人類はまだ、放射能がどんなものなのかを良く解っていないし、封じ込めることも出来ませんでした。 現時点での一部原発の再稼働については特に反対しませんが、原発のあまりにも大きなリスクを考えると、今後は原発を廃止し、もっと安全な別のエネルギーに切り替えていかざるを得ないでしょう。 だからといって、原子力に関する研究を止めてしまうわけにはいきません。 事故そのものについては、個々の立場や視点によって色々な見方があると思いますが、私が今回一番「それはちょっと…」と感じたのは、原発を建設しておきながら、廃炉に対する準備がなさ過ぎるように見えることです。 設備の対応年数は概ね40年を仮定して設置されているのに、ほとんどの国の原発は、使用期限が決められているわけではなく、定期点検で問題がなければ継続使用可のようです。 初めから施設の耐久年数が300年あると言うのであれば、建設段階で廃炉の予算や具体的な方法を細かく決めていなかったとしてもまだ仕方がない気もしますが、設計通りにきちんと造って、保証できるのは40年の設備に対し、廃炉に向けた具体的な基準や方法や予算編成(そこを考慮した上で、原発が低コストだと言っているのではないとしたら)がなされていないのだとしたら、それはあまりにもお粗末ですよね。 廃炉になった場合の、核物質及び放射能による汚染設備の廃棄方法や廃棄場所は、当然建設時に決めてあり、それも含めて地元とも合意しているものと普通思うじゃないですか? でも、どうやらその辺が怪しい。それが事前にちゃんと決まっていれば、政府ももう少し迅速な対応が出来たんじゃないでしょうか。 でも、終わってしまったことを言ってもしょうがないので、これからどうすべきかを考えてみましょう。 今後もっと安全なエネルギーが確保できた暁には、人類は原発を手放すはずです。今回世界中が原発のリスクを知ってしまったわけですから、当然の流れだと思います。 日本は事故を起こした当事者ですから、原発に頼らない生き方を探る最前線に立つべきでしょう。その部分は前回の記事に書きましたが、今度は廃炉及び、放射線を封じ込める技術の開発です。 原発の停止で、原子力を学ぶ学生が減っているとの報道もありますが、その流れには待ったをかける必要があります。今までは、原子力を使って効率的にエネルギーを作り出す研究が主流だったと思うのですが、今後は、いかに原子力エネルギーを制御し封じ込めるかに全精力を注入しなければなりません。 幸いなことに、自動車や家電だけでなく、繊維や塗料、それらを含む新素材についても、日本には世界最高レベルの技術があります。 放射線を封じ込め、無害化するための新たな素材を開発すれば、それは国内で使用されるだけではなく、新たなビジネス、輸出産業にもなるはずです。これについてもやはり、企業任せにせず、国を挙げて取り組んでいく課題だと思います。 廃炉について、色々な意見や考え方があるのは承知していますが、個人的には現在原発のある場所に処理施設を造り、地元の雇用や補助金を継続した上で、廃炉という新たな技術を創出し、産業の活性化にも役立てることが、これからの目標になるべきだと考えます。
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