放射能汚染による症状を訴える患者続出?
必ず、最後まで読んでください。 私は、今後数ヶ月間に、甲状腺など、放射能汚染による症状を訴える患者が続出し、専門病院では、待合室が診療待ちの患者で溢れるのではないかと考えています。 それも、放射線数値の高い汚染地域だけではなく、日本全国に(あるいは中国など海外も含め)患者が大発生することは、まず間違いありません。 「素人のお前が煽ってどうする、それこそ風評被害だ」と思われますか? でもこの予測は、医学的な知識と経験を元に立てられたもので、素人の勝手な推測とは思っていません。 放射能障害の症状が詳しく報道され、こんな症状を感じたら受診してくださいなんてテレビで言おうものなら、患者の数は劇的に増えます。 それも、正にテレビで言っていたのと同じ症状を訴える患者ばかり。その報道内容が、間違っていたとしてもです。 たぶんですが、数日以内に、「ほうれん草を食べてから身体の調子がおかしい」「牛乳を飲んだら気分が悪くなった」なんて人が発生し始めるのではないでしょうか。食品の産地はお構いなしにです。 (既に水道水にまで影響が波及しているので、食べ物は関係なく、何でもありですね。) 私の話が見えてきましたか? その人が、原発の敷地内で育てた牛の牛乳やほうれん草を摂取したのなら話はわかります。でも、一般に販売されているものを食べたり、都内の水道水を飲んだだけなら、仮にその食品が放射能に汚染されていたとしても、そんなに早く症状が出るはずがありません。 そうです。こんなときは、不安のあまり病気になるというか、なったような気になり、実際に体調が悪くなる人が必ず現れるものなのです。 もしかすると、自分が既にそんな状態だ、妻や友人がそんなことを言い出したという方もいらっしゃるかも知れませんね。 甲状腺などの内分泌系(ホルモン系)や自律神経症状、アレルギーなどの免疫系の疾患は、精神的な影響が身体に反映されやすい疾患でもあるので、気分の変化だけではなく、実際に検査上の数値に異常が出る人もいると思われますが、これは放射能の影響ではなく、逆プラセボ効果とでも言いましょうか、身体が本人の期待に応えてしまう仕組みによるものですので、現在のところ、まず心配はいりません。 ご存じの方も多いと思いますが、プラセボ効果について一応説明しておきます。 プラセボ(プラシーボ)効果とは、実際には薬効のない偽薬を服用することで、症状が改善する、病気が治ってしまう現象を指しますが、薬に限らず、手術や私たちの行うような手技でも発揮されることが、医学的にも証明されています。(昨日予約の電話を入れたときには凄く辛かったのに、先生の顔見たら治っちゃったなんていうのもプラセボ効果の一部でしょう) プラセボの凄いところは、患者だけではなく、医師の意識の持ち方によっても、効果の現れ方が変化すること(このため新薬の臨床試験では、患者のみならず医師の側も、どの患者に与えている薬が新薬で、どれが偽薬かを知らされません)や、深刻な副作用が予想されていたりすると、偽薬を服用した患者にも副作用が現れること、新薬の前評判や医師と患者の信頼関係によっても効果の現れ方が違うことなどです。 これらの事象は、検査値の変化として、医学的に証明されているものです。(副作用については気分的なものかも知れませんが) そしてもう一点注目していただきたいのは、医師の態度が患者に影響すると言う部分。親の不安が強いと、事情のわからない子供にも影響を与えることになります。 私たちが祖先から受け継いできた免疫機能は、長い歴史の中であらゆる病気や汚染から私たちの命を守ってきた歴史があります。医学では治しようがないどんな病気も、自己治癒力であれば治せる可能性があるほどです。 しかし、過度の不安やストレスは、本来の免疫機能を弱めてしまうことが知られていて、百害あって一利なし。心配していれば準備が出来て免疫力が高まるなんてことはありません。 要するに、今の段階で放射能汚染が原因と思われるような、甲状腺疾患や吐き気などの症状が出たとしても、まず放射能とは関係ないからびびらなくて良いと言うことです。 原発の動向はいまだ流動的で今後の予測はつきませんが、過度の心配はかえって体調を悪くすることになり、自らの身を危険にさらす行為になりかねません。 不安とは、現実になっていないことを指す言葉です。準備は出来ますが、起きてもいない問題を解決することは出来ませんし、特に今回の原発問題などは、心配すれば何とかなるものでもありません。 準備できることはする。心配でお金も時間もある方は、関西や外国に逃げるのも良いでしょう。 でももし、放射能に対する危険を回避するために避難所生活、あるいは親戚知人の家に滞在するとなった場合、自宅か避難先か、どちらが体調を崩す可能性が高いかを考えなければなりません。 避難所生活のストレスと、放射能による健康被害を天秤にかければ、余程放射能レベルの高い地域や、その周囲の物資の輸送が途絶えているような地域以外では、今のところ、家で暮らした方が健康に過ごせる可能性はずっと高いように私には思えます。 どちらにしろ、状況に応じて対処するしかありませんので、今後の動向を冷静に見守っていきましょう。 甲状腺疾患に関して、もう一点。 甲状腺疾患は、本人が気付いていない潜在的な患者さんがかなりいると思われます。そして、近年増えつつあると私は感じています。 私が患者さんを診る中でも、結構な確率で甲状腺疾患の疑いのある患者さんがいて、必要に応じて検査を勧めていますが、実際異常が見つかり通院中の患者さんもおられます。 甲状腺に限らず、ホルモンの異常や自律神経の症状は、怠さやむくみ、疲れやすさ、動悸、めまいなど、症状も一定せず単なる疲れなのか病気なのか区別がつきにくいものばかりです。素人にはなかなか診断が付きません。 私が甲状腺疾患を疑う場合目安にするのは、症状プラス甲状腺の腫れです。 甲状腺は首の部分、喉仏の両脇にチョウチョの羽を丸くしたような形で広がっています。 この部分が、ぷよぷよした感じで膨らんでれば、何らかの甲状腺疾患が疑われますが、気にしてみなければほとんど気付きません。本人的には「私の首太いな」と思う程度です。 太っている場合は全体に脂肪が広がって付きますが、甲状腺の腫れは局所的なものなので、注意深く見れば区別できます。 今まで気付いていなかった潜在的な患者さんが、これを機に自分の症状に気付き、放射線の影響ではないかと心配する人も出てくるのではないでしょうか。 甲状腺の病気は、余程辛い症状がでない限り、緊急性のあるものはほとんどありませんので、あまり心配はいりません。気になる人は、健康診断や他の病気で病院に行ったときなどに、ついでに血液検査をしてもらうことをお勧めします。 考えていただきたいことは、甲状腺疾患の専門病院は限られており、現在でも大変な混みようです。 特に症状もない方が、用心のために受診をすれば、本当に必要な患者さんが診療を受けられないような事態にもなりかねません。 この記事を読んでくださった方には、過剰な心配をすることの方がよほどリスクが高いことを知って冷静に対応していただけたらと思います。
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