苦痛からの脱出2

このことは、きちんと知っておく必要があるので、ここで少し医学的に心と身体の関係を見ていきたいと思います。まず前提として、感情が動けば、脳内ホルモンや自律神経が変化します。悲しいときや感動したときに涙が出る。怒りや緊張で声が震える。感情が起きると、それに応じた脳内ホルモンが放出され、それが自律神経に働きかける。その結果、涙が出たり声が震えたりするわけです。私たちが、表情や声のトーンで相手の感情を推し量ることが出来るのは、このように感情の変化が心の中だけではなく肉体的な変化を起こすためで、俳優が自分以外の人間の感情を表現できるのも、人のからだが感情に応じて変化するのを知っているからです。ですから、身体に変化を起こさない感情はないと考えてください。そこで自分たちの生活を考えてみましょう。いつも緊張して何かに怯えていれば、身体も緊張し、筋肉も固くなり、血流も制限されます。あらゆることに警戒しすぎているので、刺激に対して過剰に反応するようにもなり、実際に起きていることの何倍も怖い思いをしなければなりません。その度毎に身体も傷つけられていると考えると、日々緊張して過ごしている人は、リラックスしている人の何倍も身体にダメージを与えていることになります。いつもイライラして不愉快な日々を送っている人は、何も楽しくなくなり、誰かに八つ当たりしたくなります。そうなるとそばにいた人間も離れていくので、一段と辛くなるし、怒るのはとても疲れることなので、自分が疲労しきってしまう上に、脳内ホルモンも、脳の神経回路でもイライラが強化され、悪循環から抜け出せなくなります。このような生活をしていれば、肩も凝るし、気分は悪いし、免疫力も低下するし(精神的な落ち込みが免疫力を低下させることは医学的に証明されています)体調が良くなるはずがありません。別の例を挙げてみましょう。ある患者さんは、精神的にも肉体的にもハードで、凄くストレスフルな仕事をしているが、健康のために休みの日にはジムに行って身体を鍛え、食事も不規則なのでサプリメントも飲み健康に気を遣っていると言います。そこで患者さんは私に聞きます。「なぜ体調が良くならないんでしょう? これ以上何をすれば良くなるんでしょう?」私の答えは明確で、「これ以上、身体に良いことをしても意味ないですよ。身体に悪いことの方を辞めなければ治りません。だって毎日深夜まで働いて、寝ている間も仕事のことを考えて、休日でさえ楽しむ暇もなくて、そんな生活で体調が良い方が変ですよ」この答えを聞いた人は、生活を改めるかどうかは別として、渋々ながらもその事実だけは認めます。一方、しょっちゅう笑ったり、信頼できる人に囲まれていたり、日々の生活が充実していれば、少しくらいは肉体的にきつかったり、運動不足だったり、偏った食生活だったりしても、滅多に体調を崩したりはしません。当然のことなのですが、自分が渦中にいるときは、そんなことにも気付かないんですよね。以上のことからも、うつや強迫性障害、パニック障害や慢性疼痛などに苦しんでいる人が健康でいるのはどんなに困難かがわかります。心と身体は密接に関係しています。心に余裕があれば、身体にも余裕が生まれます。身体に余裕が無くなれば、心にも余裕が無くなります。このごく当たり前のことを念頭に置いて、次の段階に進みたいと思います。

治療院アジアート

麻布十番商店街の、女性による女性のためのマッサージ鍼灸治療院です。 全身のマッサージを基本に、必要に応じて鍼灸を追加します。 どこか懐かしい古民家風の空間で、ゆったりとした時間をお過ごしください。 女性専用、個室、完全予約制、お着替えもご用意してあります。 2019年4月より、ご要望の多かった施術抜きの「カウンセリングのみ」のコース始めました。 ご予約時にご指定ください

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