その症状には意味がある
身体が何らかの症状を出すには意味があります。
「食欲がない」これは、消化するにも体力がいるので、「今はあまり食べないで」というサイン。あるいは、消化を担当する自律神経(副交感神経)が押さえ込まれて働けないのかもしれません。
「身体がだるくて、朝起きられない」そんなときは、「疲れたよ。もっと休まないとダメだよ」あるいは、「ストレスで苦しいよ、ちゃんと自覚してよ」という声。
私たちには仕事や学校があって、からだの声を100%聴いてあげる事はできないかもしれませんが、だからといって無視をしてはいけません。
以前の記事「名医を探すより、自分の身体の声を聴きましょう」でも述べましたが、不調や痛みなどの身体が発する声は、私たちを守るために必要なもので、私たちを攻撃しているものは別にあります。
だから、無理を続けているのに、ただ薬で症状を押さえ込み、心や身体をいたわってやらなければ、身体は納得せずに再発するだろうし、一時的な症状で身体がそれ以上声を出す必要を感じなければ、薬を飲むだけでも症状は治まるでしょう。
何度も繰り返す慢性的で耐えられないほどの症状を持つ人は、名医を探すことより、自分の生活を見直すこと、完治させることより、その症状を出難くさせることが大切だと私は考えます。
先日、アトピーで悩んでいる方から電話をいただきました。鍼灸でアトピーは治せますか?どのくらいの期間で効果は出ますか?など質問のお電話です。
ご本人は、症状を抑えるだけではなくて、当然完治を望んでいます。今までにも、いろんな医者に行き、漢方薬なども試しているけれど、仕事がストレスフルになると顔にアトピーが出てしまう。顔に出ると、それが嫌でまたストレスになる。だからどうしても治したいと言います。
私は正直に答えました。「症状を出にくくすることはできますが、ご自分の生活環境が変わらなければ、完治は難しいですし、どのくらいの期間で治るかもご本人の生活次第ですので、私がここでお答えすることはできません」
「私の治療院に来てくだされば治してあげます」と言えれば私の生活ももっと楽になるのですが、私はそんな名医ではないし、たとえ世界一の名医にかかったとしても、本人の生活を変えずに、アトピーを完治させるのは無理だと思うからです。
食べ物も気をつけているようで、「暴飲暴食をしていても、アトピーが出ない人もいるのに、どうして私だけと思ってしまう」と訴えていました。
私は、「どんな症状が出るかはその人の体質によるので、その暴飲暴食をしている人は、アトピーには出なくても他の症状が出るんじゃないですか」と申し上げました。
身体の声(身体症状)は、人によって出方が違います。自分の弱いところに出るものだし、ストレスの種類によっても、出やすいものが異なるように思えます。
身体的には、この出し方が一番本人にメッセージが届きやすい、そんな声なのではないでしょうか。
まずは正しい医療を受け、ある程度やってみてそれでも治らない場合は、自分の生活を見直すこと。医療で治すには限界があるので、こうするより仕方がありません。
病気になるのはありがたいことではないし、出ないに越した事はないけれど、それは必ずしも不幸なことではなくて、何らかのメッセージが込められていると考えたほうが人生にも有利です。
起きてしまったことを悔やむより、この状況の中でどう進むべきかを考えることが大切なのは言うまでもないことです。
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