うつ病の原因 その2
私達の自律神経は古来から、明るくなったら活動するための神経、交感神経が元気になり、身体を活発に働かせて、夕方暗くなれば、身体が回復するための神経、副交感神経が優勢になり、美味しく食べ、充分に栄養を吸収し、熟睡して、翌日は元気になっている。そんな風に設計されているはずです。
だからこそ、日中は身体を使い疲れ切っても、暗くなれば副交感神経が充分に働いて、身体を回復へと向けてくれました。昔の生活は、身体のリズムと一致していたので、現代の私達よりずっと過酷な労働をしていたとしても、元気でいられたのだと思います。
現代の生活では、深夜まで明るいところで緊張を強いられる事が多く、交感神経ばかり働いて、副交感神経の働きが充分でないままに寝ることになります。それでは身体は回復せず、疲労はどんどん蓄積される一方。
私の考えでは、現代人は疲れるのが問題なのではなく、回復しないのがいけないのではないでしょうか。医学的に言えば、多くの人が交感神経過緊張状態です。
徐々に核心に近づいてきました。お断りしておきますが、ここに書かれている内容は私の個人的な考えで、あくまでも仮説です。医学的には必ずしも正しくないかもしれませんが、医学の常識や、従来の考えにとらわれていないことで、かえって皆さんのお役に立てるのではないかと信じています。
自律神経が乱れるとホルモンバランスも乱れます。
うつ病の原因と考えられている、脳内ホルモン(神経伝達物質)であるセロトニンやノルアドレナリンやドーパミンの減少が、生活の乱れにより引き起こされているように思うのです。
もうひとつ私が注目しているのは、コミュニケーションの減少です。
以前の私達は、直接会うか、あるいは電話で話をしました。今はメールが中心になりつつあります。
直接会って話をすれば、なるべく楽しく話をしたい、気持ちよく会話したいと考えるため、面白いことを話そうと思うだろうし、表情も豊かになります。
私は日々、人と直接会い、身体に触れて仕事をしているわけですが、ほとんどの患者さんが、私の話で治療中に何度か笑うし、お互い感動したり、感心したり、興味をそそられたりするわけです。
そうすると、脳内ではドーパミンやセロトニンやアドレナリンなどのホルモンが活発に放出されているはずです。
でも、メールでのコミュニケーションでは、多くの場合用件を伝えるだけ。誤変換などで笑えることもありますが、大抵は味気ない会話で、脳内ホルモンなんて殆ど出ないのではないでしょうか。
そんな違いも、たまになら身体に対する影響はないでしょう。でも、同じ部屋にいる同僚にも声を掛けず、メールで連絡を済ませる。友達との会話も、相手に合わせてばかりで、腹を割って話せない。
そんな生活が続けば、脳内ホルモンのバランスが崩れ、セロトニンやドーパミンが減少してしまいます。
もし10の刺激、10の悪い要素がうつ病を誘発すると仮定して、以前は10のうち8-10くらいは精神的な要素が占めていたのに、現代人では5-6くらいの要素は、ホルモンバランスの崩れにあるのではないか。
そんな状態では、4-5のストレス、本来ならうつになるようなレベルではない、比較的小さなストレスでも、簡単にうつが誘発されてしまうのではないか。私はそんな風に考えています。
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