不登校や引きこもりについて考える 親編

引きこもりのお子さんを持つ親の方からコメントをいただいたので、不登校や引きこもりについて、考えてみたいと思います。 

素晴らしい解決方法や、正しい対処法などは存在しません。本当に難しい問題です。 

それでも、何が出来るかを考えてみることは無駄ではないはずだと信じて、書いてみたいと思います。 

「何が出来るか」と「しなきゃいけないこと」は違います。私は義務は探しません。 

義務を放棄するわけではありませんが、義務より大切なことがあると信じているからです。 私が考えるのは「今より良くなる可能性」です。 

一度困難な状況に陥ると、状況を変えることは難しくなります。以前は簡単にできたことができないかもしれませんが、出来なくて当然。出来ないのが普通。

でももし出来たら、きっと今よりは良くなる。状況は変わらなくても気持ちは楽になる。そこを目指すしかありません。 

本人、親共に一番苦しいのは、「わかっていても出来ない」からだったり、「頑張っても何も変わらない」からだったり、「状況がどんどん悪くなっているように感じる」からだと思います。 

実践できない理想より、手の届く改善です。無理なことを追い求めていると、状況は悪くなるばかりです。

まずは普通であることを求めるのをやめることから始めましょうか。普通である必要なんて、本当はないんです。 

ここでは、親御さんが出来ることを考えてみますが、一つだけ初めに言っておきます。

子供の問題に対して親御さんは責任を感じているかもしれませんが、お子さんがひきこもりや不登校なら、あなたは少なくとも最悪な親ではありません。

お子さんはあなたを頼っていて、多分信じてもいます。

お子さんがもしあなたに当たって、お前のせいだと言ったとしても本心ではありません。

最悪な親は子供を押さえつけ、子供のの抱える問題の原因は親であるにも関わらず、そんなことは微塵も考えたことがなく、自分の人生が子供の犠牲になっていると言いふらす親です。

そんな親に対しては、子供は反抗することはもし論、自分の意思を伝えることも出来ません。まずその前提を忘れずにスタートしましょう。

個人として考えた場合、親としての役割は人生の一部です。

その部分だけで、人生の全てが決まるわけではありませんし、完璧な親なんてどこにもいないし、親が完璧なら子供も完璧なわけでもないので、完璧な親になるのは諦めましょう。 

ただここで直面している問題は、親としての役割についてで、会社や学校のように、合わなければ辞めるとか、他の子供と取り替えるというわけにはいきません。 

どんなに苦手な役割でも、投げ出すわけには行きません。 

私の思うに、特に不登校や引きこもりの問題においては、どんなに頑張っても、親が子供を何とかするのは無理だと思いますし、すべきではないと思います。  

親のすべきことは、子供をどうするかではなく、親としてどうするか、どんな親になるかだけです。 

最終的に親が責任を取るのは、子供の人生ではなく、親自身の人生ですので、そこを間違えないようにしましょう。子供は親の成績表の一部ではありません。 

子供の問題は子供自身で何とかしなければなりません。例え親であっても、子供の人生を肩代わりすることは不可能です。そこで親に何が出来るかといえば、子供の意志を尊重し、子供の人生を手助けすることではないでしょうか。 

私がその人個人ではなく「親」という存在を考えるとき、最も重要な要素は「子供」です。 子供から見て良い親が、私にとっての良い親です。 

そう考えたとき、あなたはどんな親になりたいでしょうか? 自分が子供だったら、どんな親を求めるでしょうか? 

私は、親という存在は、子供にとって世界で最も安心できる存在であって欲しいと思います。 

自分の全てを無条件で受け容れてくれる存在であって欲しいと思います。 

自分を最も信じてくれる存在であって欲しいと思います。 

信じるという意味は、子供が嘘をついても疑わず、子供の言うことを何でも信じ込むという意味ではありませんし、無条件で受け容れるというのも、一切怒らないということではありません。 

子供を一人の人間として尊重し、子供の気持ちを理解しようと努力し、間違いは正し、やりたいことは応援し、困ったときは手助けしてくれる。そんな親なら理想ですよね。 

ここでは、そんなの無理だと言わずに、そんな親に近づこうというわけです。 

子供を思い通りにコントロールすることは不可能だし、してはいけません。でも自分がそんな素敵な親になれるチャンスはあります。 

誰にも、他者を変えることは出来ませんが、自分を変えることは可能だからです。 

具体的にはどうしたらいいのでしょうか。いくつか思いつくことを書いてみます。 

子供の気持ちを勝手に決めつけないこと。子供の意見がどんなに幼稚で甘えたものであっても否定しないこと。 

子供の考えが、自分から見ると間違っているように思えても、子供がそう感じていることは事実です。そんな風に思うなんておかしいと怒っても意味がありません。 

子供がそう考えるのには理由があります。それを一度しっかり受け止めましょう。間違いを正すのはかまいませんが、どんな理由であれ否定してはいけません。 

自分の思いは子供に押しつけず、子供の考えることと並列に、自分はこんな理由からこう考えると伝えましょう。 

どちらが正しいかではなく、お互いの意見や考え方、感じ方が違うだけだと肝に銘じてください。 

子供の意見をバカにするような親になりたいですか? 

それとも、どんな意見でも、そうか子供はそんなことを考えていたのかと理解してあげられる親になりたいですか? 

「子供の思いを叶えてあげる」のではなく、「子供の思いを妨害しない」こと。 

思いを叶えるのは本人です。 

合わない学校なら、可能な限り転校させるほうがいいですよね。無理に行きたくない学校には行かせないことです。

でも次の学校に適応できるかどうかは子供の問題です。自分で頑張らなければなりません。ですからなるべく子供が選んだ学校に行かせましょう。 

子供に夢があって、実現のためにお金がかかるなら、お金を出してあげるんじゃなくて、貸してあげたり、一部援助してあとは本人がアルバイトをするのを応援するとか、そんな感じで良いんじゃないでしょうか。 

それが過保護と信じることの違いです。子供が失敗しても、「それ見たことか」ではなく、「良い経験したな」と言えるような親は格好いいと思います。 

「子供の人生を決めつけない」こと。 

何が幸せかは人によって違います。本人が価値を見いださなければ、傍から見て幸せそうに見えても意味がありません。 

一流企業の会社員が幸せな人もいれば、鍼灸師が幸せな人もいます。 

仕事は生活のためで、趣味が人生のメインになる人もいます。 

立派な仕事をすることが、その人の人生の成功とは言い切れません。 

少なくとも、こうであったら良かったとか、こうでさえいてくれたら違ったのにと思うことは、その人の人生ではないと言うことです。 

「あなたがやりたいことを見つけられて良かった」と言ってくれるような親は素敵です。 「自分の気持ちをわかって欲しい」と思う前に、「相手の気持ち」を理解しましょう。 

個人的な印象では、不登校や引きこもりの子供の場合、「親が子供の気持ちを理解している」より、「子供が親の気持ちをわかっている」方が優勢な気がします。 

前にも言いましたが、子供は親に対して怒りをぶつけたり、心ないことを言ったりするかも知れませんが、それは親の気持ちがわからないからではなく、誰も自分の気持ちをわかってくれないという思いや、自分に対する怒りや苛立ちを身近な人にぶつけているだけです。 

親は自分が拒絶されていると思わずに、子供の苦しい気持ちを受け取ってあげてください。 

わかってあげることが出来れば、わかってもらえる可能性は増えますが、もしわかってもらえなくても良しとしましょう。 

相手がどうかではなく、自分がどうであるかが自分の責任範囲です。 

このことに関連して、場合によっては、子供の「落としどころ」になってあげましょう。 

以前、遺伝的な病気と言うか、身体的な問題を抱えている方と話をしました。他人からは想像できない程、大きなコンプレックスです。 

その人は、自分の人生で上手くいかないことがあると、何でもその問題のせいにしてしまう傾向があり、その怒りの矛先は、子供の頃に適切な治療を受けさせなかった母親に向いていました。 

実際は、お母さんはその時出来る最大限の努力をし、可能な限りの治療も受けさせていたのですが、彼女は実際にはあり得ない、あの時もっと別の治療を受けていたら治っていたのではないかという幻想から抜け出せずにいたのです。 

私が具体的に、お母さんは当時の彼女が出来る最大限の努力をしたんじゃないの? と聞けば、彼女はそうかも知れないと認めます。

もっと良い治療が世界のどこかにあったとしても、その治療を受けるのは現実的じゃないし、もし責任があるとしたら、当時かかった専門医の方じゃないの? と言えばそれも認めます。 

私は話をしていて、要するに、お母さんは彼女の落としどころなのだと感じました。 

お母さんのせいにすることで、上手くいかなかった現実に対処しているのです。例えば、自分に対して心ない対応をした人がいても、怒りの矛先をその人個人に向けるのではなく、最終的には母に対する怒りに落ち着けていることで、現状を切り抜けているんです。

その方が、問題が起きないですよね。 

お母さんに怒りを向けたとしても、彼女は本当の意味で、お母さんを嫌いなわけでも憎んでいるわけでもありません。お母さんが、自分のために頑張ってくれていることはちゃんと知っていて、お母さんを頼りにしているのです。 

辛いことですが、親はこんな役割を受け持たなきゃならないこともあります。でもちゃんと知っていてください。子供は親が憎くて、そんな役割を担わせるわけではありません。 

子供の話はちゃんと聴き、自分の想いもちゃんと伝えましょう。 

逃げ腰になることは一番良くありません。親が逃げたら、子供は誰を頼り、信じればいいのでしょうか。 

素晴らしい対応が出来なくても良いんです。喧嘩しても、怒鳴り合っても良いから、それでも見捨てないという態度を見せましょう。 

逃げ出したくなるのは当然です。でもどうせ逃げられないんです。覚悟を決めて、がっしり受け止めましょう。 

ここに書いたことは、子供もいない人間の勝手な意見です。 

普通はなかなか出来ないことだと思います。出来なくて当たり前と思ってください。

でも、素敵な親になりたいじゃないですか。子供の問題じゃなく、自己実現です。 

子供の現状が変わらなくても、「自分は子供に成長させてもらった」と思えれば成功です。 親が変われれば、子供にも「人間頑張れば変われるのだ」ということを証明できます。 

子供を何とかしようと考えるのは止めて、自分が子供をどう受け止めるかを考えてみてください。  

治療院アジアート

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