発達障害との付き合い方 大人編

自分が発達障害だと気付いたとき、あるいは自分の子供にその可能性を感じたとき、どのような対処法があるでしょうか? 

根本的な疑問として、発達障害を治すことが出来るのか?という問題ですが、これは残念ながら、適切な訓練をすれば改善はするけれど、完治することはない。と言うのが、現時点での現実的な答えだと思われます。 

だからといって、絶望する必要はありません。 

社会的なハンディキャップはあるけれど、正しい理解と対応により克服できることが沢山あるからです。 

身体のハンディキャップと同じように考えるとわかりやすいと思います。 

下半身麻痺になったら歩くことは出来ませんが、車いすを使って外出することは可能です。パラリンピックで金メダルを取る人もいます。 

失明した人は、訓練しても見えるようにはなりませんが、点字や朗読サービスを使うことで、本を読むことは可能です。 

ハンディはありますが、仕事に就くことも、家庭を持つことも、ノーベル賞を取ることも十分可能です。(最後のノーベル賞については、発達障害を持つ人の方がそれ以外の人より可能性は高いものと思われます)

正しい訓練により不自由さを軽減し、道具の使用や、周囲の人間の工夫で、ハンディキャップを埋める方法を考えていくことが大事です。 

症状を改善するための訓練ですが、出来れば専門機関に相談し、専門家の手に委ねることが第一選択です。 

ただ、研究が進んでいるアメリカなどとは違い、日本国内で専門的な教育をしてくれるところはほとんどないのが現状ですし、専門家だからと頼ったところで期待を裏切られるケースも多いので、それにもめげない強さは必要でしょう。 

素人でも出来ることを考えるには、まずは敵を知り、先人の知恵を拝借し、自分でも考えるしかありません。 

まずは、既に大人になっている場合から考えてみます。 

成人後、本人の機能改善を目指すのは難しいので、症状があってもなるべく困らない、上手く付き合う方法を考えましょう。 

一番大切なことは、うつや強迫性障害、パニック障害などの二次障害の防止です。 

本人や親が最初にすべきことは、現実を受け容れ否定しないこと。 

自分の弱さと強みを分析して、弱い部分は道具の使用や周囲の理解を推し進めることで対処しましょう。現実を受け容れないと、これが出来ません。 

まずは、本を読んだり、サポート団体に加入するなどして、上手く対応している人の技を盗みましょう。多分便利な道具や、自分はこんな風にして上手くいったよといった知恵が色々とあるはずです。 

周囲への理解については、本(やネット)を活用しましょう。 

自分の口で、自分の症状を説明することは難しく、相手の理解を得るのも困難です。 

自分の症状についてわかりやすく書かれている本を探し、(あるいはHPを探し)相手に読んでもらいましょう。これが一番手っ取り早い方法です。 

相手に理解してもらったら、お互いに歩み寄って工夫しましょう。 

気持ちの部分では、人には色んな感じ方があり、相手の反応には理由があることをお互いに学びます。 

「何でだよ。相手がおかしい」と思っても、「待てよ、どちらかがおかしいんじゃなくて、お互いの見ているところが違うのかも。相手はどうしてそんなことを言うのだろう?」などと考えたり、相手に理由を聞いたり、自分の理由を話したりしましょう。否定するのではなく、相手の事実を受け止めることが肝要です。 

人に対して、中途半端に自分の欠点を隠そうとすると間違いなく誤解されます。 

本当の強さとは、自分の弱さを認めて、それでもあきらめないことです。そんな人は格好いいじゃないですか。 

ですから人には、自分はここが苦手、これがわからないと、なるべく正直に伝えましょう。 

もう少し具体的な部分でも考えていきます。 

視覚的に字を読んだり書いたりが苦手であれば、メモを手書きではなく携帯やスマホの音声メモを使利用したり、文章を読み上げたり、音声入力が出来るソフトを使って、読み書きをサポートしましょう。(カラオケの歌詞のように、文字を反転させながら読めるソフトなどもあるようです) 

また、周囲の人に理解してもらい、代わりに読んでもらったり書いてもらったりすることが、人間関係にプラスになる可能性もあります。 

私が社会人になって初めに覚えたことは人に甘えることです。と言っても、甘い声で甘えるわけではなく、わからないことは人に聞き、助けてもらってお礼を言う。何もわからない新人OLとしては当たり前のことですが、助けてもらうことで人間関係が良くなったと個人的には感じています。 

まあ、女性だから得というのはもちろんありますが、私は沢山助けてもらったお陰で、人に頼られるのも嬉しいし、人生の中でもらったものをお返ししなきゃと思えます。 

老人病院で働いていたときも、何かしてあげたときに「すいません、すいません」と言われるより、「ありがとよ、お前は良い子だねー」と言われる方が数倍嬉しかったし、そんなばーちゃんになりたいと思ったものです。 

「やってもらって当たり前」ではいけませんが、「やってもらってありがとう」は素敵なことです。 

出来ないのは自分が悪いのではないし、人をフォローするのは迷惑なことではありません。 出来ない自分が恥ずかしいとか、やってもらうのは人に迷惑を掛けることと考えるのは止めましょう。 

相手が理解してくれないこともあるし、努力が報われないこともあります。 

でも、わかってくれる人もいるし、上手くできることもある。全ての人の人生にとって、大切にすべきことは後者です。 

上手くいかないことを何とかしようともがく部分をなるべく減らし、得意なことに目を向ける時間を増やしましょう。 

大人向けは感情論のようになってしまいましたが、次の子供編はもう少し具体的な対応を考えたいと思います。

治療院アジアート

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