「ダンサーのための解剖生理学入門」
*ダンサー以外の方も参加可能です。 患者さんの中に、ダンスをされている方がわりといて、治療時に動きと筋肉の関係などをお話しする機会が多く、患者さんからのご要望で、以前短期間開催していた講座です。 昨年治療院を引っ越し、場所が狭くなったこともあって開催を見合わせていましたが、時々お問い合わせをいただくのと、わりと長くダンスをしている方でも、体の使い方を意識できていないんだなと実感することが最近重なり、再開することにいたしました。 内容は生徒さんの要望に合わせ、柔軟に対応していくつもりですが、主な目的は以下の通りです。・専門書を自分で読んで理解できるだけの基礎知識を身につける。 自分で勉強しようにも、難しそうな専門用語が出てくると、なかなか本を読み進めることも出来ません。わかりやすく書かれた良い参考書もあまりなく、勉強したい意欲はあってもままならない方が多いのではないでしょうか。 この講座では自分の身体を使って実感し、楽しみながら、筋肉、骨、関節の構造など、それぞれの名称や特徴を理解することを目指します。・何が問題か、問題を解決するにはどうすれば良いか。想像力を身につける。 私たちのように国家資格を持つ人間でも、知識だけあって使いこなせていない人が沢山います。ほとんどの知識は、ただ知っているだけでは使えません。 例えば、上腕二頭筋は関節上結節と烏口突起から始まって、橈骨粗面で終わって、筋皮神経が支配していて…、そう言ったテストに出そうな問題には答えられても、実践で患者さんを前にしたとき、関節上結節がどこにあるのかわからなければ、その知識はなんの役にも立ちません。 実際に役に立つことが目的ですので、知識はあくまでも自分で考えるためのベース。難しい専門用語を暗記する必要はありませんが、「この股関節の動きは、骨盤内の筋肉が主に働いているのか、それとも太ももの筋肉が重要なのか」といった、動きと筋肉の関係は判断できるようにしたいと思います。具体的な内容としては、 はじめに、解剖生理学の基礎知識 骨格、筋肉、神経、関節—名称と位置関係、構造や特徴などを学ぶ。 次に、筋肉と神経の連動など。 具体例をいくつか挙げて説明しましょう。 ダンスをされている方なら特に、ストレッチについてはよくわかっているはず。でも実際患者さんと話をしてみると、ストレッチの姿勢や形にとらわれていて、一番大事なことがわかっていない人が多いんです。 ストレッチの目的は筋肉を最大限伸ばすことで、関節をつなぎ止めている靱帯を引き伸ばすことではありません(そんなことをすれば関節の安定性が失われ、最悪脱臼です) 痛みがあれば、筋肉は反射的に収縮します。縮んだ筋肉を無理矢理伸ばそうとすれば怪我に繋がるかも知れません。ストレッチは、いかに力を抜くかがポイント。どうすれば目的の筋肉を効率的に伸ばすことが出来るのか、少しだけ医学的に考えられるようになりましょう。 似たような動きでも、使う筋肉は違います。 例えば腰を左右に振るには、足の筋肉を使うことも、側腹筋を使うことも出来ます。 腕の上げ下げにしても、肩と腕の動きを中心にするか、肩甲骨の動きを中心に行うかで、使う筋肉が違ってきます。 具体的な動きと主動作筋は、それを感じ取ることが大切なんです。その辺の違いに気がつくことで、ダンスの質は変わり、怪我への対処法も見えてくるはずです。 バレエなどでは身体を引き上げるようにしますが、どこをどう使って引き上げているかわかりますか? 私はダンスをしないので、患者さんに説明するときは、自分でやってみてから考えます。 内臓を引き上げるようにすると、身体の中心に力が集まってくるような感覚になります。肩も少し下がる感じです。「そうか、横隔膜の収縮=内臓を上に持ち上げるイメージなんだな。」横隔膜は、胸骨、肋骨、腰椎にくっついているので、実際に肋骨や腰椎が身体の中心に集まる感じになります。 お腹を引っ込めるにしても、腹筋(腹直筋)を使えば、腹直筋は胸骨から始まって恥骨に付いていますので、この筋肉が縮めば、恥骨が引っ張り上げられるかたちになり、骨盤の底が前方にスライド、背中が丸まる感じになります。(極端に表現すればです) 背筋を使って姿勢を伸ばすと、それとは逆に出っ尻になる。 このように、筋肉の使い方によって、同じような姿勢にもわずかな違いが生まれるのです。 こうして自分の身体を、筋肉の動きとして具体的に感じ取ることができれば、人に教えるときにもわかりやすい言葉で説明してあげることが出来るようになるし、自分の癖にも気付けるかも知れません。 基礎を理解できたら、もう少し上級編に進みましょう。 脳と運動 脳について勉強すれば、自分の脳はなんて優秀なんだと感動するに違いありません。 運動、筋肉を動かすことについてだけ考えてみても、本当に凄いんです。 私たちの身体には400もの名前の付いた筋肉があります。歩くときには、主に足の筋肉が働いていると考えがちですが、実際はどんな運動でも、400全ての筋肉が、適度に縮み、適度に弛緩していなければ歩くことも出来ないんです。 腹筋や背筋が緩めば姿勢を維持できない。これは容易に想像できますが、顔面の筋肉や腕の筋肉もその動きに合わせて働いているなんて、あまり考えないですよね。でもちゃんと、状況に合わせて働いている。言われてみれば当然です。 私たちが言葉を話すとき、数ある言葉の中からその場にふさわしい文章を作り出し、声帯や唇の形を瞬時に変え、舌の動きを調節し、適度な声量やアクセントでその言葉にニュアンスを加え、相手に言葉だけではなく気持ちまで伝える。その時には身振り手振りも加えるだろうし、顔の表情も変わるでしょう。ほら凄いでしょう? 脳の運動に関係する場所は大脳皮質の1次運動野から始まり、大脳基底核、小脳を中心に沢山あって、多くの神経細胞の協力によって、私たちの動きは作られています。 ですから、動きを作るアプローチの仕方は、実は多方面からあると考えることも出来るんです。 例えばダンスで回ろうと思ったとき、「足をこう上げて、ここで手を下げて、顔を回して…」などと考えながら回るのと、美しく回転する自分をイメージしながら、自然と起きてくる筋肉の動きに身を任せるのでは、違った動きが生まれるんじゃないかと言うことです。 私たちが動こうとしたとき、脳内でその動きを記憶しているミラー細胞と呼ばれる場所が活性化します。その動きを実際しているときも、人がその動きをしているのを見たときも、その動きをイメージしているときも働く細胞です。話し始めると長くなるので今は止めておきますが、なんかおもしろそうですよね、脳と運動。そんなことも勉強していけたらいいなと思います。 最後に私の専門分野である怪我への対処法です。 痛み、炎症の意味を学び、休むべき時期とやっても良い時期の判断が出来るようになりましょう。 簡単にできる応急処置やテーピング、サポーターの使い方などは、実技で一緒にやっていきたいと思います。<参加方法> ご自分の都合の良いお時間をメールかお電話にてご連絡ください。通常の治療同様、ご予約にて承ります。 痛みがある人、悩みがある人などはどんどん質問してください。講義のついでに治療もします。何でも答えますし、わからなければ次回までに調べておきます。 特にテキストなどは使用せず、私がその時々の資料を作成するつもりですが、お持ちのテキストがあれば、それを解説することも可能です。極力ご要望にお応えしますので、何ありとお申し付けください。<参加費> 1名で受ける場合:1回(60-80分)¥4,000- グループでの受講、2名〜5名:1回¥3,000-(80-90分) 場所が狭いので、それ以上の人数になる場合はご相談ください。 都内近郊であれば、ダンス教室、劇団などへの出張講義も可能です。ご相談ください。 出張基本料金:2時間¥20,000-(10名以上の場合、+1名に付き+¥1000) 申し訳ありませんが、当院内での受講は、原則として女性のみとさせていただきます。 出張での講義は、男性も受講可能です。 個々の事情に応じて柔軟に対応しますので、条件などは気楽にご相談ください。
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