慢性疲労と自律神経
朝目が覚めた途端、「疲れたなー、今日は早く帰って寝たい」などと思う人、多くありませんか?
まだ何もしていないのに、朝っぱらから疲れている。いったいどうしてなんでしょう?
睡眠時間が足りないから?仕事が忙しすぎるから?会社や学校に行きたくないから?
それはきっと大きな原因です。でもその問題はなかなか解決できない。同じことを続けていては、いつまでも疲れっぱなし。
そこで医学的な見地から、その疲労感を、少しでも減少させる方法を考えてみたいと思います。
ご存知かもしれませんが、自律神経には、戦う時に働く「交感神経」と、リラックスしている時に活発になる「副交感神経」の二種類があります。
交感神経は、心臓の鼓動や呼吸を速め、瞳孔や気道を開き、脳を興奮させ、人を活動的にする働きがあります。
この神経は、日中の明るい、緊張した環境で活発に働く神経です。
一方、副交感神経は、心臓の拍動や呼吸を穏やかにし、脳を鎮め、消化吸収を促進し、寝ているときの身体を支配します。
こちらは夜、暗い場所やリラックスした環境下で活発になり、私たちを疲労から回復させるために働いてくれています。
現代人の生活は、交感神経ばかりを使い、副交感神経の活動が抑え込まれた状態なのではないかと思うんです。
肉体的な疲労を考えれば、現代人よりも昔の人のほうが、ずっと大きかっただろうと想像できます。畑仕事や家事労働、移動手段。何をとっても大変です。
でも昔は、夜が早かった。人類の歴史から見ればつい最近の江戸時代だって、夜の8時にもなれば、ろうそく一本、行灯ひとつでは何もできず、寝るしかなかったはずです。
昔は交感神経の活動も活発だったかもしれないけれど、それ以上に副交感神経が活動しやすい環境にあったように思います。
夜は早くから暗く、脳を興奮させるようなテレビやネットもなく、日中は身体を使い、ストレスの種類も、生きるか死ぬかの大きなものであっても、やるかやらないかみたいな単純なもので、だらだらと緊張が続くものではなかったかもしれない。
だから、疲れはするけど回復もしていた。疲れの種類も身体を使った心地良いものだったのではないでしょうか。
現代人は疲れはそこそこでも、脳は緊張しっぱなし。寝るときや食べる時にも、仕事のことを考えていたり、直前までPCや携帯をいじっていたりで、交感神経が元気なまま、副交感神経の出番がありません。
これでは回復しないから、疲れは蓄積される一方。
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