筋肉はびびりーである。その3 ストレッチ編

 身体が硬い人のストレッチについて考えてみる。 身体の硬い人がストレッチ嫌いなのは痛いからだ。 かっての私もそうだった。痛いのは嫌だからストレッチはしない。でもしないと余計硬くなる。まさに悪循環。 繰り返し説明しているが、筋肉は痛みを感知すると縮んでしまう。 だから、身体が硬い人がストレッチしようとすると、痛みのせいで伸ばすつもりの筋肉をますます縮めることになる。筋肉はこれ以上伸びまいと頑張るのだ。 身体が柔らかい人にはわからないだろうが、身体が硬いと自負している人は、この記事を読みながら試してみると良い。 伸ばそうとしているのは姿勢(形)だけで、主役である筋肉は、ぎゅっと縮こまっているのが実感としてわかるはずだ。 筋肉に対して、脳の一部からは伸ばすように指示が出ているが、脊髄及び防衛本能からは縮まれと命令される。筋肉が従うのは現場の意見。危機対応はいつだって優先順位が高いのだ。 そんな人こそストレッチしたい。どうすれば上手に筋肉を伸ばすことができるだろうか? どうにか頑張ってと言うか工夫して力を抜くしかないので、どうすれば力が抜けるかを考えてみた。 ストレッチの定番である前屈を、身体の硬い私が立位でやってみたところ、やはり色々なところに力が入っている。 まずは脚の後ろ側全体。これは予想どおり。最大の理由は痛いから。 それから腰を中心に背中全体。身体が前に倒れてしまうと危険(痛い)なので、身体を起こそう、これ以上前に倒れまいと頑張っている奴がいるのを感じる。 それにどうやら、姿勢のバランスを取ろうとして力が入っている部分もありそうだ。このままでは力の抜きようがない。 今度は足を伸ばして座ってみた。残念なことに、身体が硬すぎて、真っ直ぐ座っていられない。膝が曲がり、背中が後ろに反ってしまうのだ。 私は考えた。なぜ真っ直ぐに座っていられないのか?  膝が曲がってしまうのは膝の裏側の筋肉が伸びないからだが、背中は? 背中が後ろに倒れてしまうのは、腰から骨盤にかけての筋肉が硬くて、股関節の部分が膝を伸ばしたままだと直角にまで曲がらないからだと気付く。 要するに、深く前屈するためには、脚の裏側の筋肉だけではなく、骨盤内の筋肉も伸ばさなければならないわけだ。ここは案外盲点ではないだろうか。(骨盤内の筋肉は、股関節の複雑な動きに対応するため、縦、横、斜め、色んな方向に走っている小さめで比較的力の強い筋肉達だ。個々の筋肉については、別の記事で紹介する) 何かをするにも大事なのは目的を定めることなのだが、人はしばしば目的を忘れ、結果にだけ目を奪われがちだ。 例えばダイエットの目的は、もてたいとか、今より魅力的な人になりたいとか、健康な身体になることなはずだが、無茶な、あるいは我慢を強いるダイエットで運良く体重は減っても、不健康な痩せ方をして、やつれて生理も止り、いつもイライラしている。そんな結果であればやらない方がいい。 ぽっちゃりして、美味しく食べて、ニコニコしている方が魅力的な人だからだ。(ダイエットについては沢山記事を書いているので、他を参照してください) ストレッチ、例えば前屈についても同じで(全然違う?)目的は硬い筋肉を伸ばすことであって、美しく正しい前屈姿勢をとることじゃない。 これから説明する方法は、40を過ぎた私が実践して効果を上げたやり方だ。立位で前屈すると、指先から床まで5センチくらいあったのに、これを始めて2週間後くらいには床に5本指全部を着けて止まっていられるようになった。 数名の患者さんで試したところ、その場で驚く程の効果があったので、人に自慢できる程身体の硬い人は是非試してみて欲しい。 まず足の裏側を伸ばしたいときは、立位で椅子やベッドに手をついて身体を支え、何度も大きく息を吐きながら、下に落としていくように上半身の力を徐々に抜いていく。 脚に力が入っているなと感じたら、その部分の力を抜くことに注意を向ける。前に倒そうとか、伸ばそうとか思うんじゃなくて、力を抜くことで、重力で上半身が落ちていくのに任せる。 骨盤内の筋肉を伸ばしたいときは、多少膝が曲がっても良いから、お腹を太ももに近づけるようなイメージで同じように上半身を落としていく。お尻を後ろに突き出すようにすると、腰の後ろが伸びるのを感じることが出来るはずだ。 骨盤内の小さな筋肉は、骨盤の骨から始まり大腿骨にくっついているので、腰の後ろや太ももの裏は突っ張るが、膝の裏やふくらはぎには直接影響を及ぼさない。それが実感出来たら、上手く骨盤内の筋肉が伸ばせている証拠だ。 苦痛ではない程度の微かな痛みでとどめる。そうすれば、痛み反射は起きても穏やかだし、そこから力を抜くことも可能になる。 注意点は、焦らず、ゆっくり時間をかけてやること。 そして、今ストレッチしようとしている筋肉をきちんと感じて、そこを伸ばすのに障害になる要素をなるべく排除すること。 例えば、骨盤内の筋肉を伸ばしたいときに膝を曲げるのは、膝の裏が痛くて周囲の筋肉に力が入ってしまうのを防ぐためだし、何かにつかまるのは、バランスを取ろうとあちこちに力が入るのを防ぎ、支えながら倒すことで、筋肉あるいは脳の不安を軽減する役目がある。 そう考えると、バレエのバーレッスンはとても合理的なストレッチ方法だとわかる。 プロ中のプロが使う方法が、実は初心者にも優しいやり方だったというわけだ。  次回は筋トレについて考えます。   

治療院アジアート

麻布十番商店街の、女性による女性のためのマッサージ鍼灸治療院です。 全身のマッサージを基本に、必要に応じて鍼灸を追加します。 どこか懐かしい古民家風の空間で、ゆったりとした時間をお過ごしください。 女性専用、個室、完全予約制、お着替えもご用意してあります。 2019年4月より、ご要望の多かった施術抜きの「カウンセリングのみ」のコース始めました。 ご予約時にご指定ください

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