身体の声をちゃんと聴く
自分の身体の声を聴こう
うちの患者さんによくいるタイプの人たちです。こんな人を見たら、皆さんはどう思われますか?
基本的に真面目な頑張り屋さんです。
凄く忙しくて、心身共にストレスがある。
過去に体調を崩したことがあるので、それ以来身体には気を付けていて、食事がいいかげんになるとサプリメントを摂り、予定のない休日にはジムに行き、普段もなるべくストレッチをしてから寝るようにしている。
ここまでは良いですよね。
ストレスがあるのは仕方ありませんし、真面目に努力していて偉いなあと、ストレスフリーな上に不精者の私からすれば、本当に頭が下がります。
問題はここからです。
本人曰く 「今はあまりにも忙しくてジムにも行けず、疲れ過ぎて何もやる気が起きないのでストレッチをサボっていたら、肩や背中のこりがひどくなって、身体中が痛くて夜中に目は覚めるし、毎日頭痛がして時々吐き気もあるんです。何とかしたいので良いストレッチとか、お勧めのサプリメントはありますか?」
あるいは、「最近体力が落ちたみたいで、全然疲れが取れないし、朝はだるくて起きられないし、時々動悸がして、手が震えることもあるし、度々目眩もあります。やっぱり週一回のジムじゃなくて、毎日ジョギングとかして体力をつけなきゃダメなんでしょうか?」
「ちょっと待って、それ、疲れてるとかじゃなくて、病気だから!今すぐ医者に行って調べて、結果を私に報告して」と言わざるを得ないことが時々あって、自覚のなさにドキドキします。
別の例を見てみましょう。
やはり仕事で無茶をしているある患者さんは、元々婦人科系に問題があります。
いつも疲れていますが、最近特に体調が悪いのは、貧血が進んでいるせいではないかと感じていました。
鉄剤を飲めば良くなるのだろうけれど、以前飲んだときに気持ち悪くなったことがあり、もう飲みたくありません。
最近注射で鉄剤を入れてくれる病院を見つけ、そこで注射をしてもらったら、少しだけ体調がましになったと喜んでいました。
どの方も、本当に解決すべき問題に気付いていないようです。
これを読んでいただいている皆さんには、どこが問題かわかりますか?
身体に無理をさせながら、良いことを足していく
無理を続けていくために、良いことを付け足して、問題を解決しようとしている。
確かにそれで解決できることもあります。
でももっと先にやるべきことがある。そこに気付くべきなんです。
毎日していて、した方が気持ち良くなることがわかっているストレッチも出来ないほどに疲れているなら、ストレッチするより、まずは休むべきです。
だるくて起きられないのは、寝ていろ!というサイン
身体が求めているのは休むことで、サプリメントや身体に良い運動ではありません。
身体が疲れてしょうがない、頭が痛い、緊張してよく寝られないのは、体力がないわけでも、ストレッチや栄養が足りないわけでもなく、身体に無理をさせているからです。
仕事や家庭の役目はサボれない。どんなにきつくてもやって当然と思っているのだと思います。
でも本当にそうでしょうか?
心身ともに充実していて、体が本当に元気な時は、多少の無理をしても大丈夫でしょう。
でも体に異常が出ている。身体が悲鳴を上げている場合は、無理を続ければ壊れます。
心身ともに追い詰められて、視野が狭くなり、思考能力も奪われて、このままでは過労死も他人事ではありません。
すでに数歩手前まできていると気づくべきです。
根本的な解決には、足すのではなく引くこと
今やるべきことは、「体に良いこと」を足すことではなく、「無理」を引くことだと気付く必要があります。
出血があって貧血が進んでいるなら、まずは出血を止めなければなりません。
例に出した患者さんは、既に一度手術をしているので、もう手術はしたくないから医者に行かない。
婦人科系の疾患はストレスと深い関係にあるので、仕事を辞めれば良くなるかも知れないけど、倒れないうちはそうも行かないと言います。
だからせめて鉄剤の注射で持たせる。
これでは止血せずに輸血しているようなものです。
出血を止めれば、鉄を補充する必要はないんです。
倒れないうちは止められない。これが最大の間違いです。
倒れないために、本格的にぶっ壊れないために身体はサインを出しているんです。
取り返しの付かないところまで来てから止めたのでは遅過ぎます。
私が施術することで、患者さんの今の身体の辛さをとってあげることは出来ます。
良い状態が長持ちするように、本人の回復力を元気にしてあげることも出来ます。
気持ちを楽にしてあげることも出来ますから、皆さん帰るときには、来たときとは別人のようになって帰って行く。
でも、身体が悲鳴を上げるほどの無理をその後も続けていけば、身体は文句を言い続けるでしょう。
それは、身体がサボっているのではなく、どうしても必要なことだからです。
自分の身体の声を聴くときも、人の話を聞くのと同じです。
自分が良かれと思うことを押しつけても、相手は納得しません。
求められていることは何かをきちんと考えて、勇気を持って対処しなければなりません。
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