理由を考える。その2

私は治療家なので、患者さんを治療するときには当然色んなことを考えます。なぜ痛むのか、どうしてこの動きは出来るのにこちらの動きは出来ないのか、どうしてそのタイミングで痛みが起こるのか。そして、どこをどんな方法で治療すれば治すことが出来るのか。治療効果は、ここでどれだけ想像力を発揮できるかにかかっています。もちろん考えるためにはベースになる知識が必要で、知識がないと想像の幅は広がりません。でも人の身体や状況は人それぞれ、その時その時で違うので、例えば五十肩がどんな原因で起こるのかをいくら本で勉強しても、実際の患者さんを診て、その原因が筋肉の問題か、間接包の炎症か、軟骨の棘のせいか、カルシウム沈着などの異物によるものか、あるいは首から来たものかを厳密に区別することはなかなか出来ません。教科書通りの典型的な症状や反応を見せてくれる患者さんなど、滅多にお目にかかれないんです。それに、腰痛の人が病院で検査したら、腰椎の何番目にヘルニアがあるからそれが原因でしょうと言われたとしても、現在の症状がそれに一致しないといったことも多々あります。その患者さんにヘルニアがあることも事実。でも今、患者さんが苦しんでいる症状に関して言えば、ヘルニアの治療をしても改善されないでしょう。私の患者さんで手が痺れていた人は、首のヘルニアがあり、胸郭出口症候群があり、肘部管症候群と手根管症候群らしき症状も含まれている。ここまで重なるのはおもしろすぎるでしょうというくらい、全て手のしびれの原因になります。どこが主犯で、どれが共犯者で、その被害者は誰かを考えながらも、結局は触ってみて、ここもダメじゃん、こっちも治療しなきゃ、この子もほっとけない、と片っ端から治療していくことに。でも治療だけ、その時症状が改善すれば終わりというわけではなく、医者での検査を勧めたり、再発の防止や不安の解消、今後のためにも患者さんに説明をしなければいけません。医者にしろ、本やネット上での病気の説明にしろ、医学的な知識は与えてくれても、患者さんが本当に知りたいことや、具体的に役に立つことを教えてもらえることは意外に少ないように思います。せっかく患者さんとじっくり時間を掛けて向き合える恵まれた環境にある私は、医者ではしてくれない噛み砕いたわかりやすい説明、患者さんの本当に知りたいこと、役に立つことをお話ししたいなと思います。例えば、ダンサーやスポーツ選手が相手なら、テーピングの提案や、どんな練習はダメで、どれなら良いかなど具体的な動作を説明をしたり、場合によっては手術を勧めたり。大切なのは練習を休ませることですが、ただ休めと言うだけではなく、どうして休む必要があるのか、どんな痛みならやっても良いかなど、本人が納得できる説明をしてあげないと、せっかく治療して良くなっても、治りかけで無理をしてまた悪化させます。主婦が相手なら、子供を抱くときには手の向きをこうすると楽かもとか、何度か治療すれば治るので心配ないですよと不安を解消することに力を入れるとか、とにかくその人の状況に応じたアドバイスをすることを心がけています。その患者さんにとって必要な情報は何か、患者さんの不安はどこにあるのかを常に考え、対応していくこと。考えることを忘れれば、ありきたりの説明に終始し、本を読めば済むよとか、友達に相談するのと一緒じゃんなんてことになりかねません。常にその場で考え、患者さんからのフィードバックに対応して修正補完しながら、治療や説明をする。これを繰り返すと必ず良い結果が生まれます。考えることはおもしろい。いつもそう思います。

治療院アジアート

麻布十番商店街の、女性による女性のためのマッサージ鍼灸治療院です。 全身のマッサージを基本に、必要に応じて鍼灸を追加します。 どこか懐かしい古民家風の空間で、ゆったりとした時間をお過ごしください。 女性専用、個室、完全予約制、お着替えもご用意してあります。 2019年4月より、ご要望の多かった施術抜きの「カウンセリングのみ」のコース始めました。 ご予約時にご指定ください

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