東洋医学の効果
西洋医学と東洋医学の最大の違い、それは西洋医学が病気本体(病原菌やがん細胞)を薬や手術で攻撃し取り除こうとするのに対し、東洋医学は病気自体を直接相手にするのではなく、主な作用として患者さんの自己治癒力を活性化させ、本人の免疫力で病気を克服させようとするところにあります。不治の病と言われるような、西洋医学では治しようがない病気も、自己治癒力が最大限に発揮されれば治る可能性があるんです。だから私は「不治の病なら、医者に行くよりサイババ(シャーマン)の方が治せる可能性が高いですよ。プラシーボ(偽薬)効果が最大限発揮出来れば、どんな病気だって治る可能性があるし、治らないまでも副作用が少ないから身体も楽です」そんな話を患者さんにしています。誤解のないように付け加えれば、感染症やがんなどの場合、第一選択は間違いなく西洋医学であるべきで、東洋医学は病気を治すというより、病気と闘うための免疫力の向上や、辛い随伴症状を緩和するなど生活の質を向上させることを目的に活用することをお奨めします。*ちなみにシャーマンは最後の手段に取っておいてください。早い段階でも効果は期待できますが、第一選択にはふさわしくありませんし、法外な報酬を要求されるようなら、最後の手段としても使うべきではありません。(効果が期待できることは事実ですが、真面目に取らないでくださいね)また西洋医学では診断名の付かない不定愁訴など、あるいは治療法が存在しないもの、医者から「気のせいです」と言われるようなものでも、東洋医学的な診断をもってすれば、全ての患者さんに対し治療が可能です。*西洋医学同様、診断や治療が出来ても、全てを治せるわけではありません。もう一つの大きな違いは、西洋医学であれば、病気毎に標準的な治療法というものが存在するのに対し、東洋医学では、同じ病気や症状であっても、治療家毎に異なる治療法が存在し、標準化できないところではないでしょうか。流派や治療家自身の考え方一つで、選ぶツボや治療法が違うなんて、胡散臭いですよね?この不透明感は東洋医学最大の弱みであり、(その柔軟性が、一人一人個性が異なる患者さんに対する医療としての強みでもあるのですが)東洋医学がイマイチメジャーになりきれない原因にもなっています。ですから、西洋医学は科学的に効果が実証されている。でも東洋医学は科学的じゃないよね? 実際効果あるの?一般の方が、そんな疑問をもたれるのも当然のことです。私の実体験で言えば、例えば初診の患者さんにマッサージした後、現在の症状を確認するために動いてもらいます。すると「あれ、気のせいかな? さっきより痛くない、どこが痛いんだっけ?」などと言われることが結構あります。私は内心「気のせいじゃないよ、治療したんだから良くなるに決まってるじゃん」などと思うわけですが、たぶん患者さんは、高いお金を払って治療されに来ている割には、マッサージしただけで痛みが取れるわけないと思っている様子。その後、置き針などで残った症状を取ってあげると、「鍼ってすごい、ふしぎー」みたいな。マッサージで治るはずがないと思い、初めての鍼は神秘の力?に感じるのでしょうか。その辺がおもしろいですよね。鍼灸やマッサージが自律神経や免疫系に影響を与えることは間違いありませんし、筋肉の緊張をゆるめたり、炎症を抑えるのも得意です。それに加え、私が意識して使うテクニックは、痛覚閾値のコントロールです。閾値とは、刺激に対する発火点を指すのですが、例えば、正常な状態で痛みを感じる刺激の強さが6だったとすると、その人の正常な痛み閾値は6。通常怪我などの受傷直後は痛みを感じやすくなり、この閾値が1とか2に下がります。ただ触れるだけのような弱い刺激でもすごく痛く感じているので、たとえ怪我自体は治っていなくても、この痛覚閾値を正常に戻してやるだけで、痛みは大幅に緩和します。方法は、たださするだけなので簡単です。痛みを緩和してあげることは、その場の痛みに対応するだけではなく、二次的な痛みの予防にも大きく貢献します。痛みがあると身体は緊張して、受傷部位だけではなく、周囲の筋肉にも必要以上の力が入ります。そうなると、体の使い方が不自然になり、他の場所に痛みを引き起こす、そんな経験ありますよね。また痛みが長引くと、その筋肉や関節を長期にわたり動かさなくなり、関節や筋肉が固まってしまい、せっかく怪我が治っても、上手く動かすことが出来なくなるのです。そのうえ痛みが慢性化すると、身体は緊張して血行が悪くなるために組織の回復が遅れ、常に痛みがあるために身体の警報が解除されず、意識の集中により痛みに敏感になりがちです。悪循環ですよね。これは既に必要のない痛みなので、なるべく早くとってやり、この悪循環を断ち切る必要があります。*本来痛みは身体を守るために必要不可欠なものです。怪我をした場合、組織が損傷したことを本人に知らせるため、受傷部位に発痛物質(体内で作られる痛みを感じさせる化学物質)や、侵入した細菌を殺したり、損傷部位を修理するための白血球を組織に送り出すため、血管の透過性をあげる化学物質、発熱物質などが放出され、炎症を引き起こします。これは身体にとって強い危険信号であるため、知覚神経もその反応に集中して注意を向けるようになります。その結果、痛覚閾値は低下し、通常では痛みを感じない強度の刺激(軽く触れた程度)でも激しい痛みを感じるのですが、もし痛みがなければ、受傷部位が放置され、そこから細菌感染を起こし死に至ることもあるわけです。とにかく、東洋医学の治療効果が気のせい程度のものであれば、こんなに長く治療法として生き残ることはあり得ませんし、気のせいだけでぎっくり腰や捻挫の痛みが消えるほど身体は甘くありません。ましてや、その技能が国家資格として認められ、一部保険を使えるようになることもなかったでしょう。次の記事でも引き続き、東洋医学の治療効果についてお話ししたいと思います。
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