子育て
私は独身で子供はいません。でも、患者さんと子育ての話をすることはけっこうあります。
私は子育てをしたことはない。でも、育ててもらったことはあるので、私が話すのは、子供の立場での体験談になります。
当事者になるとかえって見えてこないことが、第三者からは見えることもあり、私の話も、それなりに参考にはなるようです。
私は母と喧嘩をした事がありません。それは私が我慢強く、聞き分けのいい子だったからではなく、喧嘩をする理由がなかったからです。
父は普通の人(警視庁捜査一課の刑事)?だったので、私とはしょっちゅう、顔を合わせるたびに?喧嘩。でも、仲が悪かったわけではなく、父「おしゃべりがうるさい」娘「おとうさんがうるさいよ」そんな程度ですが、よく怒鳴りあっていました。(それが一番うるさい)
私に、もしも良いところがあるとしたら、それは母のおかげだと思います。悪いところは明らかに自分の責任。
私の母は、個人を否定しない人です。そして何よりも、子供を信じてくれました。←ここ重要。
個人を否定しないと言うのは、こんな感じです。
私が何かを出来なくても、母は決して「あんたは何でそうなの?」「本当にぐずなんだから」なんてことは言いません。
私が悪いことをしても、「どうしてこんなことをしたの?悪いことだってわかっているでしょう?」などと、私個人ではなく、間違った行為についてだけ叱ります。
私が反省しているのがわかれば、それ以上追求しないし、過去の同じような出来事を別の機会に持ち出して、「あんたは何でいつもそうなの」などと決め付けたりせず、その時のことだけを叱ります。
母は服飾関係の仕事をしていたこともあり、私も若い頃は服が大好きだったのですが、私がその当時全盛期だったラフォーレのバーゲンで浮かれ、後で冷静に見たらダメでしょーって服を買ってきて母に見せた時も、「なにその服!」とは決して言わず、「いいんじゃない」と言ってくれました。
(子供の頃、いつも個人を否定されていた人は、誰からも認められる立派な大人になっても、自己評価が低く、自分を否定的に見る傾向があります。)
これを例えれば、「子供が味噌汁をこぼした時に怒るかどうかだ」と患者さんには説明しています。
普通の親なら、「またこぼして!あんたは落ち着きがないんだから。ほら、拭きなさい」
うちの母は「大丈夫、火傷しなかった?手を出す時は、ちゃんと袖を押さえなきゃダメよ」そんなイメージです。
うちはどちらかと言えば放任で、周囲の子供達はみんな塾に行っていたのに、私は行きませんでした。
ピアノと水泳を習っていましたが、ピアノは全く好きになれず、すぐに辞めてしまいましたし、水泳も何年か習いましたが、小学校の高学年の時には辞めていたので、何年続いたのか。たぶん、母が良かれと始めさせたのだと思いますが、私が辞めたがると、無理に続けさせようとはせず、すぐに辞めさせてくれました。
私は自分の実力ではとても入れないような良い会社に、母のお友達からお誘いいただきコネで入社しました。その当時は女性が退社するのは寿退社のみ。そんな時代に鍼灸師になるなんて、わけのわからない理由で、会社を辞めると言い出したときも、
「あなたが自分のやりたいことを見つけてくれたのが嬉しい。お母さんは応援します」と言ってくれました。私は母がそう言ってくれることをわかっていたし、反対されるとは全く考えていなかった。期待通りの反応です。
母は何かを与えようとするより、いつも子供を信じて見守ってくれました。助けを必要とすれば、いつでもそれに応えてくれたけれど、何かを押し付けることは全くありませんでした。
信じてもらったおかげで、私も人を信じられるようになったし、個人を否定されなかったために、今でも私は何かやらかした時、「自分がダメだ」とは思わずに「こんなことをしてはダメだ」と考えられるようになりました。
私が信じるに値する子供だったから信じてくれたのではありません。無条件に信じてくれました。信じてもらえば、こちらも裏切りたくないと思うし、信じてもらえなければ容易く裏切れます。
私が思う良い親は、子供の可能性を信じ、自分で立ち直る力があることを信じ、必要なバックアップはするし、いつでも子供の見方だけれど、子供の人生を親が何とかできるなんて考えない。
そんな親が理想かなと感じているのですがいかがでしょうか?
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